『ノンちゃん雲に乗る』1955年
家族みんなで行ったのかもしれないが、憶えているのは、となりの母親が鰐淵晴子が踊るシーンでおれの眼をふさいだことだけ。
『ダンボ』1941年(1954年公開)
『ララミーから来た男』1955年
『白蛇伝』1958年
母親が生命保険の外交員をしていた頃、連れて行ってもらった。
他にもいろいろあったはずだが、番組を想い出せるのはこれくらい。
『ダンボ』は、渋谷まで出かけた記憶と分かちがたい。
ところが、この映画だったのか、ディズニー・アニメの別作品だったのか、困ったことに、確信がない。
振り返ってみれば、『白蛇伝』は、国産アニメが「始まった」歴史の証人になっていたんだな。
それでも、「本場」アメリカのアニメにいだく「崇拝」は、決定的だった。
カーテンが重々しくあがっていくオープニングのときめきは、もしかしたら本篇を観ている以上の興奮をもたらせた。
それは、ディズニー・アニメが最初に教えてくれた「夢」なのだろう。
『ララミーから来た男』は自由が丘で。
小雨の降る夜だった。
駅前の雑踏のなか、母親の顔を覗きこんでくる男がいて、開きかけた傘の先が出会い頭にその男の顔面に当たってしまった。
目玉を突き刺したのかと、あわてふためいた母親が金切り声をあげた。
まるで、映画の一シーンのように、その記憶だけが焼きついている。