サム・ペキンパー『ダンディ少佐』
中学卒業のころに観た。
西部劇への派生的な思い出がふくらむのは、やはりペキンパーという存在のため。
彼の活動が60年代なかば(もう西部劇が終わってしまった時代)から本格化してくるからだ。
『ダンディ少佐』は初のB級ではない大作。
キャストは豪華だし、制作費もかかってる。
背景は南北戦争下。
アパッチ討伐に向かう北軍が捕虜の南軍兵士を一時的に討伐部隊に加える。
敵の逃げこんだメキシコではフランス軍の駐留部隊が新たに立ちはだかってくる。
こちらを撃破すれば、あちらが出てくる。
前面の敵、後方の敵、そして内部の敵……。
三つ巴・四つ巴になった戦闘シーンは目まぐるしく、華麗だ。
ーーといいたいところだが、ナンだかややこしいだけって感じでもある。
まあ、ともあれ標準的な娯楽作にはなっている。
ペキンパー神話の一エピソードでなかったら、とうに忘れ去っていたかも。
主演のチャールトン・ヘストンは史劇スターのイメージが強いけれど、西部劇が似合わないこともない。
少なくとも作品には恵まれているようだ。
最近では、マイケル・ムーアのドキュメンタリでおちょくられたように、ライフルをかついだ老いぼれゴリラになっている。
あれとは別人。ともかく若いし。
けれどこの映画では、南軍捕虜の指揮官リチャード・ハリスや、片目の斥候ジェイムズ・コバーンに見せ場をさらわれてしまった。