『西部劇の作家たち』1972.7 キネマ旬報『世界の映画作家』シリーズの一冊。
フォード、ホークス、ペキンパー
このジャンルに関して、作家論の系列の本は珍しかった。
ジョン・フォード、ハワード・ホークスと並んでサム・ペキンパーの名前があるのも奇異な感じがする。
ペキンパーは「遅れてきた」作家だった。
この本が出た時点では、いくつかのB級作につづいて『ワイルドバンチ』『ケーブル・ホーグのバラード』があるだけだった。 『ケーブル・ホーグ』は『砂漠の流れ者』というタイトルだったし。
『ジュニア・ボナー』も『ゲッタウェイ』もまだ公開されていなかった。
フィリップ・フレンチ『西部劇・夢の伝説』 フィルムアート社 1977.1 284p
西部劇の理論書みたいなのは敬して遠ざけていた。
これだけなぜか一冊ある。
同じ著者の『映画のタイクーン』に感心していたので、買った。
しかしテーマ主義の強いアプローチにはあまり共感できず。
こうした「研究」もまた落日の産物なんだろう。
西部劇はもう、観るものではなく懐古する対象となってしまった。
『oh! 我らがB級映画』
『季刊 映画宝庫』B級映画大全の一冊 1977.10 芳賀書店
適度な(?)マニアック性が気に入り、手元にけっこう残してある雑誌。
全ページではなく、半分が西部劇関連。
サム・ペキンパー第一作『荒野のガンマン』の特集も。
この雜誌だと、B級あつかいがリスペクトなのらしい。
けれど、ペキンパーを評するのに「遅れてきた作家」というのでは圧倒的に足らない。
彼は西部劇ブームが事実として終わったときにこのジャンルを背負わされた。
落日のヴァニッシング・アメリカンだったのだ。
『荒野の決闘』のシナリオ採録
『駅馬車』『シェーン』の原寸大ポスターの付録
など盛り沢山だが、B級センスの追求というテイストは変わらず。
スター名鑑に出てこないB級スター名鑑
日本人の知らないB級シリーズの数かずなど。
これにて、ウェスタンの項目は終わり。