ウィリアム・ワイラー 『ベン・ハー』 1960年
60年代映画の記憶はほとんど映画パンフレットのなかに収められている。
チッケトをためるようになったのは、東京にもどってからの80年代以降。
昔はもっぱらパンフレットを買っていた。
観たのは半数がた西部劇だ。これから並べていくのは、それ以外のもの。
時期は60年代の前半、中学・高校時代に集中している。
そのあとは資料を残しておく習慣が途切れた。
記憶には濃淡がはなはだしく、何をいつどこで観たかもあらかた復元できない。
よけいにこの時期が黄金時代に感じられたりするけれど、じっさいにはどうなのだろうか。
映画は大型化するいっぽうの時代だった。
横拡がりにパノラマ化するわけだ。
シネマスコープから70ミリへと、ハリウッド映画は巨額の物量を投じる歴史劇大作路線が主流となる。
上映時間も三時間をこえるので、途中かならず休憩がはいる。
この路線が十年ほどつづいたのか。
『ベン・ハー』を観たのは、新京極六角の松竹座だったと思う。
母親と兄とがいっしょだったはずだ。
一家の記憶はそれから急速に色褪せていくが、映画館の記憶も同じだ。
松竹座だったのかどうか自信はない。
裏寺町と新京極のあいだに大型館があって、今その名前をどうしても思い出せないのだけれど、あるいは、『ベン・ハー』はそこで観ているのかもしれない。
こうしたことばかり重なり合っているのだ。